Vol.01 iMac 発売日

アメリカの盛り上がりを受て一気にかかか

「欲しい!」が高まりました。

8月17日(月)

 夫が『Mac Fun』を買ってきた。私も負けじと(?)Mac peaple臨時増刊号『iMacのすべて』を買った。たぶん短時間で制作しただろうに、スペックの解説だけじゃなく、編集手法もバラエティに富んでいて楽しい企画が盛りだくさんだ。私、こんな編集手法、大好きです。特別付録にポスターが付いていたのには笑ってしまったが、Macを愛するユーザーならではの興奮を感じちゃうナー。私も早速、興奮しながら仕事場の壁に張り付けた。机の前にお気に入りのポスターを張るのは、中学生の時に松崎しげるのポスターを貼って以来のことだ。

 同じ書店で、『アップル薄氷の500日』という分厚い本が平積みしてあったので、パラパラと2~3頁立ち読みした。いきなりスティーブ・ジョブスが登場し、スゴイ内容で始まっていたので衝動買いしてしまった。ここに登場する人物、企業、団体名は「すべて実在します」なんだから、すごい。「アップルが危ない、危ない」というニュースを読んでいたあの頃、アップル社内ではどんなことが起きていたのか!? こんなに正直に書いちゃっていいんだろうか。文章は簡素でものすごく読みやすい。あんまりおもしろいので、2頁読むごとに、内容の要約を夫に逐一「あのね、あのね」と話してしまい、嫌がられた。いままで、仕事の資料や“自習”として、トム・ピーターズや企業本など、いわゆるビジネス書を何冊も読んだけど、こんなにハラハラ、ワクワクしながら、頁をめくるのももどかしい本は珍しい。

 インターネットでは、あちこちのサイトでアメリカ時間15日(日本時間で16日)にiMacが発売された様子の速報をのっけてくれている。夜中0:00に発売開始のお店があったとか、「ハード単体としては過去最高の売上台数!」と言ってる販売店があるとか、アメリカで予約待ち続出のNewビートルにiMacを積んでにぎにぎしく運んだとか…。うー、うらやましい盛り上がり。でも写真で見る限り、Win95発売当時の秋葉原ほど、あんまり人が並んでないみたい。これって、国民性の違い? 単にシェアの違い? それとも、やっぱり供給台数が少ないの? どーゆーこと!? あ、でも、そもそも1万数千円のOSと20万円近くのハードを比べるのは、ちょっと間違いよね。


8月18日(火)

 午後から仕事の打ち合わせで、大阪へ行く。普段は電車通勤をしないので、たまに電車に乗ると疲れてすぐに眠るのだけど、今日ばかりは電車の中で『アップル薄氷の500日』を読みまくる。アメリオさんの苦悩は続く。ハンコックおばさんが登場する。


8月19日(水)

 今日は特に何もする仕事がないので、またまた『アップル薄氷の500日』。あ、読み終わってしまった。3週間程前に『スティーブ・ジョブスの道』を読んだので(もう何年も前に夫が買って読んでいたが、その頃は私、全然、関心がなかった)、NEXTで失敗したジョブスは、ああなってこうなって、今日に至るのね、ということがよくわかった。ジョブスの“人生すごろく”でも作ってみようか。


8月20日(木)

 取材で、大阪に出かける。仕事場に帰ってきて、取材した人にお礼のメールを出したら、2分で返事をもらった。ネットワーク時代なんやねぇ。


8月21日(金)

 朝から和歌山県のみさと町立天文台に行く。ここで行われた公開座談会を取材するためだ。テーマは「マルチメディアは、町を元気にできるか?」だった。

 座談会が終わってから、大阪電気通信大学のM教授とiMacの話をしていたら「あれは、もうちょっと待って様子見たほうがええで」と言われた。うーん。冷静に考えれば、そりゃ、そうなんだけど。「でも私、何がなんでも欲しいの!」とタンカを切ってしまった。もう、後戻りできない。


8月22日(土)

 iMac Update-japanというメーリングリストがあることを夫に教えてもらったので、申し込んだ。ウフフ、毎日メールが届く。なんだか嬉しい。

 ところで私の仕事用のMacは、いまだLC630だ。あ、自宅用のPowerBookは520Cだ。ついでに、今は使ってないけど、PowerBook Duo230もある。どれもCGや3Dをするワケじゃないので、動作速度で不便を感じることはないが、いまどきMacOS8を使えないのは、かなり恥ずかしいのかもしれない。

 さすがに、7~8年使っているキーボードは、関知しないときがときどき起こるようになったので、先日、(株)テックパーツ製のスケルトンピンクのキーボードとマウスに買い換えた。キーボードはファンクションキーが付いて、それでいてコンパクト。キータッチもなかなかカタ目で気持ちいい。マウスは、クリックすると中がチカチカと赤く光って、キュート。握り心地も、すごくいい。もちろん、ケーブルもピンクのスケルトンで、中のメタリックが透けて見える。使うほどに、いい買い物をしたもんだと思える逸品デス。iMacより、一足早くスケルトン。うん、気分がいい。

電車の窓から撮りました。

8月23日(日)

 家から、インターネットをつないで、Mac関連のニュースを読む。 夫も久しぶりに1日中家で過ごしたので、Macの話題がないと寂しいようだ。 昨日深夜(というか今日早朝)のオールナイトニッポンの放送を聞かなかったので、人の親切ばかりに頼ってちゃいけないと思いつつ「最愛のiMacを創る会」さん「iMacステーション」さんで、その内容をチェック。あれ、「Macお宝鑑定団」さんにつながらない。明日からiMac発売までフジテレビ(cx)系列の『目覚ましテレビ』でiMacが映るとか。おー、ますます盛り上がって来ましたねー


8月24日(月)

 「『目覚ましテレビ』で、iMacが映ってるよ」と、夫に起こされて起床。でも、それは7:59のことだったので結局、見れなかった。くー、夫に遅れをとった気分。幸い、「iMacステーション」さんが その時の画面をアップしてくれていたので、仕事場に出社してから見ることができた。ああインターネットって、ほんとに人の心の温かさを実感できるわ、と改めて思う。

 テレビ画面に映ったiMacは、ドデッと丸い印象を受けた。ブサイくカワイイというのか、ドンくさそうなフォルムに人の良さがにじみ出ているというか。決して悪い印象ではないのだけど、ともかく、いままで写真で見ていた感じとは、ひと味違う。いまの若者ファッションみたいに、取り澄ますほうがダサイんだぜぇ、という主張を感じる。考えてみれば、スティーブ・ジョッブが得意そうにiMac抱えている写真以外、iMacを紹介するものといえば単体で映っている写真が多かったので、こうして空間に置いてみた感じを見れるのは、初めてだ。

 朝日新聞には、全面広告が載っていた。iMacのマウスと「コンピュータの新創世記はじまる。」「8月29日、iMac(アイマック)がやってくる。」のコピーにThink differentがらみのロゴ。なんじゃ、こりゃぁ!? なんで、こんなイメージ広告ばっかりしたがるんだろう。これじゃあ、iMacの優位性をMacファン以外にアピールできないじゃないか。私がWinユーザー、もしくはパソコン無関心派なら「なんのこと?」で終わってしまうね。もっと「普通の人」がMacに出会えるような、呼びかけをしてくれよー。今日から毎日、広告を打っていくそうなので、徐々に「どこがスゴイのか」を、AppleやMacを知らない人たちにもフレンドリーに解き明かしていって欲しいものだ。

 iMac発売まで、あと5日。インターネット情報によると、明日は、iMacを販売するお店の全国一覧が載るらしい。


8月25日(火)

 またも、『目覚ましテレビ』が終わった瞬間に目覚めてしまった。さてと、今日の新聞広告には、iMac販売店一覧が載っているんだった。………。なんじゃ、こりゃあ!? こ、神戸がない…。横浜なんて、同じビブレの7階でソフマップ、8階で島村楽器と、それぞれ載っているというのに。近畿は大阪に5店舗、姫路に2店舗も載ってるっつーのに。なんで、神戸では売ってくれないの? iMac Update-japanから配信されてきたリストにも、神戸がなかった…。どーした、“関西最大の売り場面積を誇る、Seiden”!? (Seidenは、神戸、三宮で一番大きな地元の電気店星電社の店舗なんデス) 。ニノミヤMac館だって、三宮にはあるというのに。

 よく見ると、iMacデモ展示販売店と書いてある。それって、デモ展示しないけど販売する店は別にあるって期待していいの? でも、でも、29日の3時の発売開始に、大勢の人と一緒に、デモ展示見たいよー。もちろん「iMac発売記念品」も欲しいし。こりゃあ、大阪まで行くしかないか。でもこの週末、めちゃ忙しくて、行けないのよ。この期に及んで、こんな落とし穴があったなんて。 トホホ。ネット上のニュースによると、さらに販売店の追加が発表されるウワサがあるらしいけど…。

 iMacデモ展示販売店の一覧から4面あとに、またまた広告が載っている。「あと4日で、近未来のフォルムがやってくる。8月29日、iMac(アイマック)がやってくる。」のコピーにThink differentのロゴ、そして今度はiMac全部の俯瞰の写真。しかも、昨日よりグンと小さな、広告サイズ。たしか業界用語で、“記事なか ”のナントカいうパターンだったっけ(新聞広告の仕事って、私、ずいぶん昔にしたっきりなので、忘れてしまった。イカンイカン)。小さいのは予算の問題で、しかたないけどね。小さいから、あんまりグダグダ書くのも効果ないとも思うけどね。けど、けど。プンプン、今日の私は、機嫌が悪いんだい。


8月26日(水)

 うふふ。仕事場に来てiMac Update-japanを読んだら、iMacデモ展示販売店の追加発表が載っていた。全国で13店舗、追加ぁ。いやぁ、よかった、よかった。神戸も1店舗(Seiden三宮店PC-PORT)追加された。Seiden、やっぱりあんたはエライ。29日、行かねば。

 今日の朝日新聞の広告は、やっぱり昨日と同じくらいの小さいサイズで、コピーは「あと3日で、マッハのように離陸する、スピードが手に入る」だった。ハー。いっそ、広告サイズはカウントダウンとともにどんどん小さくしていって、発売日には一段広告にするってのは、どうだ? ひっそりと「本日午後3時、登場」とか。あ、それだとパチンコ店の「本日10時から新台!」みたいか。


8月27日(木)

 「だいたい、なんで私はiMacが欲しいのか?」

 昨日の夜にふと、そんな疑問にとりつかれてしまった。
 いま、ものすごく仕事が忙しいから、物事をじっくり考えたりする気力も時間もないというのに、私のなかで「じっくり考えろ」「そんなことより、仕事しろ」「でも、iMacの発売日も迫ってるし」「発売日に買わなくてもいいじゃないか」「えー、カウントダウンもされてて、こんなに盛り上がってるのに」(略)と、天使と悪魔がグズグズけんかしている。
「盛り上がってるから、買うのか?」
 確かにそういう側面はあると思う。この大きなムーブメントに身を任せて、気分を共有したいというミーハーな気分は、ある。 ワールドカップの街頭テレビを見に行きはしなかったけど、それと同じような気分なのかもしれない。
「デザインがいいから?」
 これも、もちろんある。家のなかのどこに置こうかと想像するだけで、わくわくする。iMacを置けば、そこだけパッと花が咲いたようにキレイだろうなと思う。「でも、花に178,000円は高いよ」
OK。それなら、機能面を考えよう。
「いま使ってるLC630じゃあ、不満?」
 仕事に使っている分には不満はないけど、新しいアプリケーションやCD-ROMは、どんどんPowerMac用になってるし、いずれ新しいのに買い換えなきゃとは思う。
「じゃ、仕事用に買うの?」
 いやいや、いま使っている17インチのモニタだから、それが15インチになるのは困る。長い原稿を書くときは。行数を見るためにシステムソフトの『エディタ』を使っているんだけど、モニタが小さくなると表示できる行数も少なくなるから、不便だ。第一、iMacのフォルムは「仕事なんてこと考えず、私の人生を豊かにするために使いたい」と思わせる。
「エラそーに。でも、家にはMacがあるでしょ」
 そう、今年のお正月にソフマップで中古のPowerBook520cを買った。あ、まだ1年も使ってないのね。でも、モデムは古い14000bpsだから、インターネットもしずらいし。
「モデムだけ買い換えればいいじゃん」
 でも、PowerBookじゃインターネット、見にくいし。
「たしか、まだMacがあったでしょ」
 ギクッ。えーと、壊れてるのも合わせると夫と私とで合計わが家には6台ある。あれ? いつの間にそんなに増えたんだろ。私は、全然ハードユーザーじゃないのに。夫のせいだわ、きっと。
「調子が悪くなったまま使っていない、夫のQuadra840AVは?」
 そーなのよ。「アレを修理して、モデムと液晶ディスプレイを買い足せば、10万円チョットで家でもインターネット環境は整う」って、夫も言うんだけどね。でも、でも…。

 iMacが発表された直後、確か何かのコピーに『アポロの月面着陸にも、ウッドストックにも、間に合わなかった人 』というような表現があったけど、まさに私がそうなのだ。因みに、夫はどちらの出来事にも、また、初期のMacがいかに衝撃的かというタイミングにも“間にあった人”だけど。
 私は、歴代のMacシリーズでも特に「歴史の転換」を実感することなく、なんとなく使い始めてしまった。確かにMacは操作にイライラさせられることもなかったし、使っててフレンドリーな気分にもなったけど、ドカンとくる衝撃は薄かった。わからなかった。だから、いまのiMacの衝撃はきっと「まっさらの新しい歴史に初めから参加できる」喜びなんだと思う。それとも、そんなふうに思ってしまうこと自体、スティーブ・ジョブスの魔法にかかってしまったということだろうか?
 iMac発売まで、あと2日。iMacは、私にとってコンピュータとのつきあい方を劇的に変えてしまうものなのか、いつか解けてしまう魔法のアイスクリームなのか?


8月28日(金)

 ウワサによると10月になると、もう次のiMacが発表され、それはなんと333MHzで、そうなると明日発売されるiMacは1,000$になる見込みなのだとか。ある情報によると、明日発売のiMacの出荷台数は、日本全国で2万台とか、もっと少ないという話もあるらしい。なんでも、『iMac小僧』という小型のiMacの“模型”と思われていたものは、スピーカーだったそうだ………インターネットニュースを読みながら、夫が、先に先にと情報を仕入れては、私に話しかけてくる。ああ、私の楽しみを奪わないで。
 そういえば、思い出した。今日の夕方、大阪・梅田のホテルで、アメリカから輸入してきたiMacをみんなで見よう! というイベントがあったのだ。入場料は1000円。コンピュータを1日早く見るために、有料で人が集まるというのも、恐るべしiMacの魅力。時間が許せば、きっと私も行っていただろうと思う。
 ところで「なぜ私はそんなにまでしてiMacが欲しいのか」問題だが、夕べ、夫が私にこんなことを言った。
「何カ月か前に『最近、私、Macを触っててもなーんか楽しくないのよね』って、言ってたじゃない?」

 たしかに、私はそう言った。Macを使い始めた頃、クラリスワークスでお絵かきしたり、デスクトップパターンを何枚も作ってみたり。「ほー、こういう仕組みになっているのね」と、Macをいじることだけですごく楽しかった。インターネットも初めは、「つながった、つながった」ということだけでおもしろかった。でもこのところ、新しさとか未知への探検めいた感触は薄れていって、私でも操作しやすいコンピュータ=Macでさえも、その操作性とか、いろんな決まりごとにちょっと、ウンザリしはじめていた。単なるマンネリなのか。何が不満なのか、それはわからない。でも、なんか楽しくない。ワクワクしないのだ。
 コンピュータを使い始めた頃のあの新鮮な発見と、驚きと、いらだちと、「なんだそうだったのか。私が間違っていたのね」という安心と、Macとの和解と、挑戦と…。そんな気持ちが、iMacを見たときに、再び甦った。なんか、期待できるじゃん。それがiMacだったのだ。

 明日の午後3時にiMac発売。この期待は、アタリなんだろうか。


8月29日(土)

 何から書き始めたらいいのか、わからない。日本中のiMacファンがそうだったように、私にとってもドトーの1日だった。今日の日記は長いよ。

 昨日は徹夜で仕事をして、朝の6時に寝ようと思ったが「発売まであと、9時間」と思うとなかなか寝付けなかった。夫もそうだったらしい。かなり寝不足の体を引きずって、私たちは神戸で唯一のiMac販売店、星電社のSeiden三宮店PC-PORTに向かった。

「人がいっぱいで、入れなかったらどうしよう」
何事も慎重な(そのわりには詰めの甘い)夫は、調子のいい想像をしている。
んなことはないでしょ。神戸は、全盛期の松田聖子のコンサートでさえチケットが売れ残った所だ。何事も人の集まらない土地柄なんだから、いくらiMac人気を持ってしても、それはないだろう。でも、急がなきゃ。

 2時40分。Seiden三宮店PC-PORT6階に到着。50人くらい居るだろうか。お店の人が2人、マイクで何か説明している。しまった、出遅れたか。やはり詰めが甘かった。

 やがて、Aplleマークの入ったポロシャツを着た男性がマイクを握った。
「私はアップルの社員ではなく、SeidenのMac担当の者です。Windows3.1発売以来、Macはいろいろと言われてきまして、何かと辛い時期もありました。でも今日のように、こんなにたくさん集まっていただいて非常に感激しております」
 うん、うん。わかる。私も非常に感激していますよ。
「5月のiMac発表以来、詳細はほとんど伝わってこなくて、実物を触ったのも3日前のことです」
 そーか、そーか。なんか、ジーンと来ちゃうよなぁ。

 そんなこんなで、カウントダウンの時がやってきた。iMacは、デモ用と展示用に2台用意されている様子で、薄緑色の布がすっぽり被されている。マイクを握ったお店の人2人は、携帯電話で時報を聞きながら、スタンバイしている。

「あと1分となりました」
 見渡すと、お客さんは150人くらいに増えていた。「なんか人が集まってる。なんやろ?」という感じで、どんどん増えているみたいだ。お店の人がマイクを携帯電話に近づけ、みんなに聞こえるようにしようと悪戦苦闘している。ああ、その瞬間が迫っている。
「……3時ちょうどをお知らせします」
 電話の声がマイクに通った瞬間、3時になってしまった。あれ?
「あー。今のは、なかったことにしましょう。10秒さかのぼって、カウントダウン始めます」
 Aplleポロシャツの店員さんの号令にあわせて、お客さんが一斉に「10、9、8…」と数えていく。みんな、あったかいなぁ。
「…3、2、1。おめでとー」
 その瞬間にくす玉が…。って、あれれ?ヒモが抜けただけで、開かないや。みんなのあたたかい笑いのなか、Aplleポロシャツさんが両手でくす玉をこじ開け、無事『祝iMac発売開始』の垂れ幕があらわれた。最後まで笑わせてくれるやないの。かくして神戸では、たぶん日本で一番遅くiMacが発売開始されたのだった。

 除幕されたiMacが、ついに姿を現した。夫は「いやぁ、思っていたよりも高級感がある」と感心している。特に、上部から前面にかけてのラインが美しい、ワックスで磨き上げられた高級車の曲線を思い起こさせるのだそうだ。なるほど、ちょっと離れて見た方がすごくイイっていうのは、車と同じだ。でもiMacは、もうポルシェやフェラーリじゃない。なんせ、178,000円だもんね。

 デモ用のiMacは、ライトテーブルのような特設台の上に置かれているせいもあるのだろうけど、かなり熱くなっていた。他のお客さんが「こんなに熱くなって、大丈夫なんかいな?」と言っている。それを機に、みんながiMacの頭といわず側面といわず、ペタペタとなぜまわす。わかるけどね。コンコン叩く人まで現れて、それはちょっとあんまりだと思った。

 マウスは私の手にはちょうどいい大きさで使いやすい。ただキーボードは、叩いたときの沈みが浅くてソフトタッチなのが、ちょっと好みではなかった。

 さて今日は買うことができるのか? そして持って帰れるのか? 残念ながら、私はダメだった。電話予約をして、今日清算に来ると確約した人だけが持って帰れるのだそうだ。お店の人に聞いてみたら、その数は100台。清算をするためにレジに並んでいる人たちは、その100人なわけね。見ると、タンクトップの若い女性とか、おじいさんとか、金髪ロック系青年とか、いろんな人が並んでいる。こういう人たちが、iMacを使うんだということがわかっただけでも、今日はなんかうれしい。高級ブランド・フェンディのサマーセーターを着たマダムが中学生くらいの娘さんを連れて、カートに箱をくくりつけて持って帰ろうとしている。ああ、iMacの箱が眩しい! 他人事だけど、ワクワクした。

 ハー。とりあえず今日は、買って持って帰れないことはわかった。気持ちを静めるために、ひとまずお茶でも飲もう。私たちは近くにある、ゴージャスな老舗の洋菓子店・コスモポリタンに入った(因みにここの創業者が、バレンタインにチョコレートを贈ることを仕掛けた。全然、関係ないけど)。今日、予約すべきか。それとも12月ぐらいまで、値下がりを待つか。この期に及んで、まだビンボーくさい考えが頭をよぎる。ゴージャスなソファーに身を沈めて出した結論は……よし、予約するぞ!

 お店に戻って、予約のカウンターに行ってまず聞いたことは「あの、これから予約して、まだTシャツもらえます?」だった。今日と明日の予約者先着70名までは、iMacTシャツがもらえるのだ。

ゴージャスな(?)パーラーで、
予約するかどうか思案中。

予約を終えて、ニコニコ顔でiMacと
一緒に記念撮影(恥ずかしかった)。

「はい、まだ大丈夫ですよ」

 そんなわけで、いま私の手元には142番の予約票の控えがある。今日、持ち帰れた100人から数えて、42番目の予約者ということだろうか。なんか、イヤな番号。ちゃんと、組み立ててよと、祈ってみる。
 予定では、3~4日で入荷するらしい。iMac入手まで、再びカウントダウンがはじまった。

CONTENTS

このサイトは、インターネットでの発表以来iMacに魅入られてしまった私の「えへへ」な毎日や事件などを綴ったページです。購入前のワクワクや「なぜ、欲しいのか」という自問自答、発売当日のドタバタの様子に続き、買った後はドキドキしながらiMacと親しくなって、E-Mailを送れないと言ってはオロオロ歩き、新しいソフトを試しては「やっぱり快適やねー」と喜び、東にEXPOがあると聞けばS.ジョブス見たさに飛んでいき、西に極秘情報があれば「おせーて」と頼み込み…まあ、そういう出来事が次々と起こりました。これからは、どんな大冒険が…!?ワクワク。

おかげさまで「Mac Fanホームページコンテスト98」でメッセージ賞を受賞しました。わーい。

CONTENTS

またまた広告が載っている。あと4日で、近未来のフォルムがやってくる。8月29日、iMacアイマックがやってくる。ンコ店の本日10時から新台!みたいやぁ、思っていたよりも高級感があると感心している。

BOOKS
参考文献ってことではなくて、あっぷるとステーブ・ジョブス関連の本。

スティーブ・ジョブズ II

ハードカバー – 2011/11/2

ウォルター・アイザックソン (著),

井口 耕二 (翻訳)

講談社刊

スティーブ・ジョブズ II

ハードカバー – 2011/11/2

ウォルター・アイザックソン (著),

井口 耕二 (翻訳)

講談社刊

ロスト・インタビュー スティーブ・ジョブズ 1995

ソフトカバー – 2013/9/11

講談社刊

スティーブ・ジョブズ-偶像復活

ハードカバー

ジェフリー・S・ヤング、 ウィリアム (著),2005/11/5
東洋経済新報社刊

アップルを創った怪物ウォズニアック自伝

2011/11/2

スティーブ・ウォズニアック (著),

井口 耕二 (翻訳)

ダイヤモンド社刊

アップル・コンフィデンシャ2.5J(上/下)

2006/4/27

オーウェン・W・リンツメイヤー (著),

林 信行・他 (翻訳)

アスペクト刊

林檎の樹の下で ~アップルはいかにして日本に上陸したのか~

2011/10/17

斎藤 由多加 (著),

オープンブック刊

アップル宣言―クレイジーな人たちへ

1998/02

真野流・北山耕平 (翻訳)

三五館刊