たまには、お利口さんを誉めてやろう。
その14●5月19日(月)晴れ
最近、ちょっと驚くことがある。グレコがグンと賢くなったのだ。それは、徐々にというのではなく、ある日突然ピョンと階段をのぼるようにとでもいうのだろうか。例えば、私が流し台の前に立って洗い物をしていると、ふくらはぎをツンツンとつつくものがある。「ん?」と思って振り向くと、グレコが鼻先で、私をつついているのである。「おお、ういヤツじゃ」と頭をなぜてやろうとすると、また立ち上がって何か訴えかけようという目で見るグレコ。カラの水入れのお皿まで行って、わざわざ鼻先をつっこみ、また私を見上げるのだ。おお、「お水が欲しい」という合図なのね。
こんなふうに、グレコのコミュニケーション手段の発達のめざましさには目を見張るモノがある。インターネットでよそのおうちのウサギをホームページで見ていると「ウチの子のはどーもアホかしら」とあきらめかけていたけれど、こうなりゃ"親バカ"まるだしだ。各シーンにあわせて、グレコのボディランゲージをいくつかあげてみよう。
◆『起きてるんなら、早よ出さんかい!』
私たちが朝、起きてボーっとしながらテレビなんぞを見ていると、ケージのなかのペレット入れをくわえてトイレにぶつけてカッチャンカッチャン、それはうるさい音を立てる。それでもだめなら、ケージの側面の出入口の格子をかじったりひっぱたりしてガタガタさせる。夜はそんな音を一切立てないので、『私も起きてるゾー。早よ出してんかぁ』とアピールしているのだと思う。
◆『……』
ケージから出してやると、部屋の隅の"トイレ"へ一目散。最近は、ケージのなかでほとんどウンチもおしっこもしない。自分で勝手に"トイレ"と決めたお気に入りの場所で朝おきぬけのトイレタイム、なのだ。だから、そこここにペットシーツを敷いている。
◆『遊んで、遊んで』
私たちが仕事をしているときは、じっと座っておとなしくしているグレコ。「お茶でも入れようかな」とイスから立ち上がったとたん、クルクルクルクルと両足のまわりを8の字にまわってじゃれついてくる。
◆『何かおやつちょーだい』
8の字廻りいつまでもやめないで、ついに立ち上がって足に前足をかけてくるときは「お菓子くでぇ」の合図。サラダ菜やクッキーをあげると、喜んでいる(ように見える)。
◆『なに、してんのん?』
お布団に粗相をして以来、畳スペースをグレコの立入禁止区域と決めて、ごみ箱を並べたバリアを設けている。ところが私たち2人が畳のところでテレビを見ていると、ときどきごみ箱バリアに手をかけて背伸びをして覗き込むのだ。その姿は「なに、してんのん? さびしいやん」という感じ。さらに寂しい(?)ときは、鼻先でごみ箱バリアをなんとか動かして、私たちの所へやってくる。
◆『うー、極楽極楽』
畳スペースにやってきたときは、あちこち走り回らせず、必ず寝かしつけることにしている。そうしないと、いつ粗相をするかわからないから。しばらくは四つん這いになって力を入れているグレコだが、しばらくすると目を閉じて足を崩して横になり、やがてはコロンと仰向けになって寝てしまうのだ。特に掛け布団をかけているときの可愛さといったら。前足で掛け布団を持ち、気持ちよさそうに体を伸ばしている。時折、口をモグモグさせたり目をシバシバさせたり…ウサギも夢を見るんだろうか。
掛け布団をかけてもらって熟睡するグレコ。ときどき手を伸ばした口をモグモグしたり、目をしかめたり…。夢でも見ているのでしょうか。
◆『なぜて、なぜて』『踏んで、踏んで』
あごや下唇のアタリを触られるのが極端にキライなグレコだが、あごをクイとあげて見つめてくるときがある。そんなときは『なぜて』の合図。逆に、足元に擦りよってきて頭を足の裏に滑り込ませてくるときは『踏んで』のアピール。こういうウサギは多いようだ。グレコの場合、寝ていたかと思うと急に思い立ったようにスタートダッシュしてくることが多い。願いどおりに、なぜたり踏んだりしてやると頭がグニャーと溶けていくようになるから、おもしろい。