噂の公園デビューに挑戦するも、再び落ち込む。
その8●11月3日(日)くもり
仕事で3日ほど出張に行ってきた。今まで何度も出張はあるけれど、これほど家に帰るのが楽しみなことはなかったかもしれない。今回のお土産は、夫だけでなくグレコにもある。かじり棒用に河原で拾った枝を2本、「喜ぶかな」と想像するだけで顔がゆるむ。グレコが来てからひとり家族が増えたようで、やっぱりいいもんだなあ。
ところがたった3日の間に、グレコの親権は夫にすっかり掌握されてしまったようだ。私の手をクンクンと嗅ぎながら「誰、あんた?」といわんばかりに、私を調べるのだ。いかん。この子のいいところは「根に持たないところ」だが、裏を返せば「3歩歩けば忘れる」アホさが欠点だったのだ。日頃から水とエサを与え、常にケージの掃除をしてくれているのは誰なのか(もちろん私です!)。かくして私は、グレコにサービス大作戦を決行するに至った。題して、秋の行楽シーズン、自然のなかで走り回らせてやろう! なんだか、家族サービスに努めるおトーさんみたいだなあ。トホホ。
予約するかどうか思案中。
予約を終えて、ニコニコ顔でiMacと
一緒に記念撮影(恥ずかしかった)。
行き先は、近所の公園だ。いきなりの行楽なので近場で我慢してもらうとして、初めての土の上で走り回る体験を満喫させてやろう。これが、噂の公園デビューなのね、と思うとなんだか私までドキドキして来る。
かつて外出の恐怖に落下事故を起こしてしまった(詳しくは敦子のうさぎ飼育日記 7へ)教訓から、準備は万端にしなければならない。まず胴輪を締めて、移動用のバスケットに入れる。この頃のグレコは何にでも興味を示し、自分からバスケットの中に入っていく。いや、でもちょっと緊張しているかな。
ミニウサギを飼うと決めたときから、私には密かに計画してたことがあった。それは、ウサギに胴輪をつけて、ピョコタンピョコタンと散歩をさせることだった。ああ、なんて可愛い姿でしょう。ついに計画を実行させるときがきた。公園で、バスケットから出てきたグレコ。んー、ショッキングピンクの胴輪が似合ってるーとひとり悦に入りながら、眺めてみる。当のグレコは、最初こそ「うー、なんかこのヒモ、気になるぅ」という感じで、胴輪をかじっていたが、公園の限られたスペースを、ピョンピョンと走り回るようになった。やっぱり、ウサギはウサギ飛びするんだなあ。
ところが、グレコの動きが急に凍り付いた。遠くで犬の鳴き声がしたかららしい。こうなると臆病ものの性格がグーンと出てしまう。スゴスゴと自分からバスケットの中に入って、もう出てこなくなってしまった。
「もういいの?」
「家に帰ったら、もう、こんなに走り回れないよ」
ところが、さらに恐怖の運命が、グレコを待ち受けていた。あとからわかったことだが、その時間帯はこのあたりのワンちゃんが三々五々あちこちから集まってくる散歩タイムだったのだ。 ああ、グレコはかわいそうに5匹もの犬に入れ替わり立ち替わりバスケットにクンクンと鼻をつっこまれ、おしっこをちびるほどの恐怖感を味わうこととなった。 なかでも、プードルのネーブルちゃんはすっかりグレコを気に入った(ヒェー!)ようで、バスケットに噛みつかんばかりの勢いだった。ごめんねグレコ、公園デビューを果たしたものの、また落ち込ませてしまったかしら。
「緑の中で走り回るグレコ」なんて想像しながら公園に行ったが前日にすっかり野草は刈り込まれている。それでもグレコは公園が気に入ったらしい。写真は夜のように見えるが午後4時すぎ。