A●まず、この健康情報誌について語っていきましょう。それにしても前頁の写真、机の上が散らかってますねー。乱雑な会社と思われないか、ちょびっとだけ心配です。
B●いや、これは演出ですってば。怒濤の日々を、ビジュアルで表現してみました。とにかく立ち上がりが大変だったんです。東京で作ってたのを「大阪で」ということになり、超短期間で編集長の私がライター、デザイナーなどスタッフを探すとほぼ同時に、取材・制作・編集といった実作業がはじまったものだから。
A●私が入った１号目の終わり頃は20人ぐらいのチームになってましたが、最初はそうだったんですね。編集方針については、どうでしたか？
B●頁をめくるたび「元気が出る」誌面を作ろうと。まあ、ほんとに見るだけで元気になったら、私は困るんだけどね。読者層が50代以上中心だから「ビジュアルが明るすぎる」「若い」という声が、飛んできたこともあったけど、健康に不安のある人にこそ「勇気がわいてきた」と思って欲しかったから、じわーっと抵抗してた。内容としては、テーマごとに専門医に取材して病気のメカニズムを解説し、どんな日常生活を送れば生活習慣病を予防できるか紹介したり、話題の栄養成分の健康効果について研究者にインタビューしたり。ときには図解つきで、難解な専門的内容を普通の言葉で表現しました。あなたは、これが初めての仕事だったけど、どうだった？
A●旅行の頁はしっかりチェックが基本。でも健康料理や体操などでは、チェック以前に戸惑うことが多々ありました。例えば体操は、実際に先生にやってもらって写真に撮り、それをイラストにしてもらうんですが、この角度では動作がわからないかなーと後から気づいて何度も撮り直したり。筋肉の名前とか調べることも多かったし、他業界からの転職だったので不慣れなことが多くて、実はちょっぴり泣いたこともあります。
B●泣いてるところなんて、見たことないよ〜。
A●私、からだがカタイんで動作をするたび、あちこち痛くて涙が…。
B●……。ちなみに私は、この制作で知識が豊富になり、日本臨床栄養協会認定のサプリメントアドバイザー（長ッ）に一発合格しました。
A●お、自慢ですか。なんか無理矢理な展開してませんか？
B●せっかくのポートフォリオなんだから、ムリクリでも自慢していきますよぉー。

A●アニメーターの仕事は１枚で完結する絵がある訳じゃないので、この作品集には、映画制作の過程で作られたものがたくさん載っています。これからアニメーターを目指す人には、現場の裏側まで見れてうれしいでしょうね。目指してない私も、見応えがありました。アートディレクションをやったDさん、なんか裏話をおしえてください。
D●以前、フランスでノルシュテインさんの大規模な展覧会があって、そのカタログの日本語版をスタジオ・ジブリが同じ時期に出版すると聞いたので、この本は「打倒ジブリだぁ〜！」といいながら作ったんだよね（笑）。
B●レイアウトや色校を全部、翻訳を付けてロシアに送ったりしてたので、大変だったんだよぉ。

B●これは一般の人にも読んでもらえるよう作ったビジュアル版の周年誌です。これとは別にテキスト中心の社史もあります。だから、おもいっきりカジュアルな表現をとることができたんです。25年間の出来事を、AからZまでのキーワードに当てはめていくという方向に決まり「んじゃ、ここまでは私が作る！」と前半部分の編集を分捕った（笑）。ひとつの本で制作者が競い合うと、おもしろい効果を生むことがありますからね。私がやったところは、インタビューや座談会、ドキュメント記事、写真を中心にしたルポ、データで語る頁など、すべて違うプラン、手法を使いました。記事も全部自分で書きました。勢いのある誌面づくりができたと自負してるんだけど…いま見ると、細かいところで未熟な点があるなぁ。
A●急に謙虚モードになって、どうするんですか（笑）。いや、大判で172頁もあってすごいボリュームと思いましたが、若者の私（？）にも楽しく最後まで読めましたよ、ほんと。